ポイント
1) 脳卒中患者の自動車運転能力の予測に、どの神経心理学的評価が有用であるかを明らかにした。
2) 結果、「Trail Making Test Part A」と「Snellgrove Maze Task」が有用な予測因子として選択された。
脳卒中ドライバーによる社会的問題
脳卒中患者の40%は、自動車運転の再開が可能であったことが報告されている。しかしながら、脳卒中患者の自動車運転は、衝突率の増加、路上テストにおける運転パフォーマンスの低下、シュミレータ上における運転スキルが低下することなどが指摘されている。これらは、患者本人および公衆を危険にさらすことは言うまでもない。
運転能力に必要な高次脳機能
脳卒中発症後、損傷部位によって感覚運動機能、視覚、認知に関連した障害が生じる。運転の適正に関わる能力には、視空間能力と視覚構成能力が挙げられる。これらの能力は、脳の実行システムによって統合されており、より高い注意力を必要とする。
これまで、脳卒中患者の自動車運転能力と関連のある臨床評価として、Stroke Drivers Screening Assessment、Compass Test、Trail Making Test Part A、Trail Making Test Part Bなどが注目されてきた。
本論文の目的
運転の可否を判別可能な評価方法を確立することである。
方法
▷研究デザイン
▷横断研究
▷対象者の取り込み基準:
10年以上の運転経験を持つ脳卒中患者
▷対象者の除外基準:
うつ病などの精神疾患を有する者、切断などの重度な身体的制限を有する者、検査の実施を妨げるような重度な感覚障害およびコミュニケーション障害を有する者など
▷オフロードテスト
視覚: 視力、視野の検査
認知機能:Short Blessed Test(精神状態のスクリーニング)
Clock Drawing Test・Snellgrove Maze Task(実行、視空間能力)
Trail Making Test Part A、Part B(注意機能)
Digit Span Test(ワーキングメモリ)
DrivingHealth(視覚運動)
運動機能:筋力(MMT)、関節可動域,握力,早歩きの速度
Nine Hole Peg test、ブレーキ反応速度
▷オンロードテスト
Original Washington University Road Test
→およそ20kmの道のりで構成された路上試験。公園の駐車場から始まり、公園内の運転(それほど複雑ではない交通状況)から都市道路の運転(より複雑な交通状況)へと進んでいく。交通標識や信号、他のドライバーや歩行者への反応が求められる。
定義に準じ、評価者は合格・許容・不合格の三段階で評価した。
結果
オンロードテストが合格だった群(合格群)と不合格だった群を比較すると、不合格群で年齢が高く、Nine Hole Peg Testやブレーキ反応時間の成績が不良であった。
回帰木分析の結果、オンロードテストの不合格には、Trail Making Test Part AとSnallgrove Maze Taskが関与していることが明らかとなった。一方、年齢や運転経験は影響しなかった。
実行機能と注意機能を組み合わせて評価することで、路上場面における自動車運転能力をある程度予測できる可能性が示された。
タイトル
Predicting road test performance in drivers with stroke
著者名
PP Barco, MJ Wallendorf, CA Snellgrove, BR Ott and DB Carr
雑誌名
Am J Occup Ther. 2014 Mar-Apr; 68(2):221-229. Doi: 10.5014/ajot.2014.008938
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