Phase Angleは慢性心不全患者における急性増悪の予後予測指標として有用か?

タイトル:

Prognostic role of phase angle in hospitalized patients with acute decompensated heart failure

著者名:

Alves FD, Souza GC, Clausell N, Biolo A

雑誌名:

Clinical Nutrition. 2016


ポイント

1)Phase Angleは慢性心不全の急性増悪(Acute Decompensated Heart Failure; ADHF)患者の有益な予後予測指標であるかどうかを検証した.

2)Phase Angle 4.8°以下が,有意に退院後の死亡と関連することが明らかとなった.

3)Phase Angleは,ADHF患者の予後を推定する上で,有益な指標である.


心不全患者の栄養状態

心不全の発症と進行は,患者個人の栄養状態によって影響される.実際に,先行研究では栄養不良は死亡に影響する重要な危険因子であることが指摘されている.

中でも,慢性心不全の急性増悪(Acute Decompensated Heart Failure; ADHF)患者は,病状が著しく進行し体液貯留が起こることで,再入院や死亡のリスクが高まります.心不全患者の栄養状態に関する報告は散見されますが,ADHF患者の報告はほとんどなされていません.


栄養評価指標; Phase Angle

栄養評価には様々な指標が用いられるが,近年Phase Angleが注目されている.このPhase Angleとは,生体電気インピーダンス法によって直接算出される指標であり,細胞の生理的機能を反映すると考えられている.値が高いほど細胞機能が良好で,値が低いほどアポトーシスや細胞外マトリックスの構成成分が減少していることを意味します.

これまで,位相角は癌や重篤疾患などの予後予測指標として有用であることが報告されてきました.しかしながら,心不全患者の経過におけるPhase Angleの実態は不明です.


本論文の目的

ADHD患者の入院時におけるPhase Angleが,死亡を予測する予後指標として有用であるかどうかを調査すること.


方法

症例

ADHF患者71名

取り込み基準:

①18歳以上の成人.

②左室駆出率45%以下.

③BOSTONスクリーニングスコア8点以上

除外基準:

①悪性腫瘍,進行性の腎不全を有する.

②心臓ペースメーカー等でPhase Angleの測定が困難である.

③アンケートの回答が困難である.

評価項目

評価は,救急病院に入院してから36時間以内に収集された.

人口統計学的指標:年齢,性別など

生化学検査:尿素,クレチニン,ナトリウム,BNPなど

体組成検査:Phase Angle

身体機能:上腕周径,上腕三頭筋の皮下脂肪,握力

生存の有無:退院後24ヶ月を目安に,カルテ記録や患者・家族への連絡を通じて確認された.


結果

退院24ヶ月後に死亡した群では,生存した群と比較して年齢が高値で,Phase Angle,左室駆出率が有意に低値であった.ROC分析でカットオフ値を求めたところ,「4.8°」と設定することで,感度・特異度が良好であった.

入院時のPhase Angleが4.8°より小さいと,退院24ヶ月後の死亡率が高まることが示された.本研究より,Phase Angleは,ADHF患者の予後を推定するための指標として有益である.

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