脳卒中片麻痺患者における歩行左右非対称性の経時的変化

タイトル:

Longitudinal changes in poststroke spatiotemporal gait asymmetry over inpatient rehabilitation

著者名:

Patterson KK, Mansfield A, Biasin L, Brunton K, Inness EL, Mcllroy WE

雑誌名:

Neurorehabilitation and Neural Repair. 2015


ポイント

1) 脳卒中片麻痺患者の歩行左右非対称性について,入院時から退院時の経時的変化を調査した.

2) 入院時,約半数の患者が遊脚時間とステップ幅に左右非対称性を認めた.

3) 退院時,歩行速度やバランスに改善を認めたものの,左右非対称性が残存する患者が多く存在していた.


脳卒中患者の歩行障害

脳卒中後の歩行障害は,生活の自立度や生活の質,活動範囲に影響を及ぼすことから,その改善はリハビリテーションの目標で最も重要視されている.

代表的な歩行障害として,遊脚期時間やステップ幅が麻痺側と非麻痺側で非対称となる「歩行左右非対称性」である.この歩行左右非対称性が長期にわたって持続することで,歩行の非効率性や非麻痺側下肢の累積外傷性障害などに影響する.

しかしながら,歩行左右非対称性の経時的変化や,関連要因を分析した報告はほとんどない.


本論文の目的

脳卒中片麻痺患者の歩行左右非対称性について,入院時から退院時にかけての経時的変化を調査すること.また,その変化に関連する要因を明らかにすること.


方法

症例

脳卒中片麻痺患者71名

取り込み基準:

① 30秒間,自立して立位保持が可能である.

② 介助なしで10m歩行可能である.

除外基準:

① 下肢整形外科的手術の既往がある.

② 歩行に影響する神経疾患の既往がある.

③ 両側の麻痺や感覚障害がある.

評価項目

臨床評価:Chedoke-McMaster Stroke Assessment(CMSA: 運動麻痺の重症度),Berg Balance Scale(バランス障害の程度),Clinical Outcome Variables Scale(能力障害の程度)

歩行左右非対称性の分析:被験者は,圧力分布センサーマットが設置された10mの歩行路を,自由な歩行速度で歩行するよう指示された.圧力分布センサーの測定値から,空間的パラメーター(歩幅)と時間的パラメーター(遊脚期時間)を算出した.

静的バランス評価:麻痺側と非麻痺側の体重比(%BW),圧中心,RMS(動揺性)を算出した.

反応的バランス評価:予測し得ないタイミングで摂動を加え,麻痺側下肢でステップした頻度を全ステップ数で除すことで算出した(PERT-freq).加えて,非麻痺側下肢による代償的ステップの継続時間も算出した.


結果

入院時,59%の患者が遊脚期時間の左右非対称性を,49%の患者がステップ幅の左右非対称性を呈していた.また,入院時に遊脚期時間の左右非対称性を呈していた患者の79%は,非対称性が退院時も残存していた.加えて,入院時にステップ幅の左右非対称性を呈していた患者の86%は非対称性が退院時も残存していた.

歩行速度,CMSA,BBS,COVS,%BW,PERT-freqは入院時と比較して,退院時に有意な改善を認めた.

相関分析の結果,遊脚期時間の非対称性の変化には%BWの変化が関連していた.また,ステップ幅の非対称性の改善と歩行速度の変化が関連していた.

本研究より,歩行速度やバランス能力,能力障害が改善したにも関わらず,退院時も歩行左右非対称性が残存することが示された.脳卒中片麻痺患者の歩行左右非対称性を改善するためのリハビリテーションプログラムを開発するためには,更なる継続研究が必要である.

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