タイトル:
Lesion-based structural and functional networks in patients with step length asymmetry after stroke
著者名:
S Kyeong, DH Kim
雑誌名:
NeuroRehabilitation. 2021
ポイント
1) 脳卒中後症例の歩行左右非対称性に関連する脳内の構造的・機能的ネットワークを明らかにすること.
2) 左右非対称性を有する脳卒中患者では,前頭葉,特に背外側前頭前野の機能的結合性が低下していた.
3) 背外側前頭前野は,歩行左右非対称性の是正に重要な役割を担っている可能性がある.
脳卒中後症例の歩行左右非対称性
脳卒中発症後,歩行機能障害の存在は日常生活の自立度に強く影響する.およそ60〜80%の脳卒中後症例は将来的に自立歩行が可能となるが,歩行が自立した後でも歩行左右非対称性が残存することで知られている.この歩行左右非対称性とは,非麻痺側が麻痺側と比較して歩幅が短縮することを表す.左右非対称なまま歩行を継続することによって,更なる代償的な運動パターンを引き起こす可能性がある.
このように,歩行左右非対称性は脳卒中後症例の代表的な異常歩行パターンであり,リハビリテーションによって改善すべき歩行機能障害である.しかしながら,先行研究において,脳病変部位との関連性は調査されておらず,発現メカニズムは不明である.
本論文の目的
左右非対称な歩行には共通した脳内ネットワークが存在すると仮定し,歩行左右非対称性と脳内の構造的・機能的ネットワークとの関連性を分析した.
方法
対象:
脳卒中後症例39名
☞39名の患者を,step length asymmetry ratioに基づき,対称群(20名)と非対称群(19名)に群分けした.
脳画像評価:
MRIのDTIとrsfMRIを用いて,構造的・機能的ネットワークマッピングを行った.
結果
両群において,基本的属性や病変の大きさに有意差は認めなかった.また,構造的ネットワークに両群で有意差は認めなかった.一方,病変部と対側背外側前頭前野の機能的ネットワークは,非対照群で有意な減少を認めた.本研究で得られた知見は,脳卒中後症例の歩行左右非対称性と背外側前頭前野の機能的ネットワークとの関連性を示した初めての報告である.今後,背外側前頭前野に対する非侵襲的脳刺激によって歩行左右非対称性が改善するかどうかを調査する必要がある.
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