多角的な転倒予防プログラムが脳卒中片麻痺患者のバランス,歩行,転倒恐怖心に及ぼす影響

タイトル:

Effects of a multifactorial fall prevention program on balance, gait, fear of falling in post-stroke inpatients

著者名:

Younuk Jung, Kyeongbong Lee, Seonhae Shin Wanhee Lee

雑誌名:

J Phys Ther Sci. 27: 1865-1868. 2015


ポイント

1) 脳卒中片麻痺患者に対する多角的な転倒予防プログラムの効果を調べるために,1日30分,週5回,5週間の介入を行った.

2) 多角的な転倒予防プログラムを実施した群は,コントロール群と比較してバランス,歩行,転倒恐怖感が有意に改善した.

脳卒中後のバランス障害に対する転倒予防プログラム

脳卒中を発症すると,片側の運動麻痺の出現に伴い,麻痺側下肢での体重支持やバランス保持の困難さが生じる.これらの要因は,歩行能力の低下ならびに日常生活動作における転倒発生と関係している.先行研究において,「転倒予防に関する教育」と「筋力トレーニングによる介入」は,転倒恐怖心や転倒リスクを軽減することを明らかにしている.また,バランス,筋力トレーニング,柔軟性トレーニングを含む転倒予防プログラムは,歩行能力,バランス能力の向上,転倒リスクの認識の改善に有用であることも示されている.しかしながら,これらの先行研究は地域在住高齢者を対象としており,さらに単一のプログラムしか適用されていない.転倒予防に向けた介入は,転倒リスクが高いことが想定される高齢者施設や入院高齢者を対象とする必要がある.

本論文の目的

脳卒中後の患者を対象に,多角的な転倒予防プログラムを実施し,バランス能力や歩行能力,心理的因子に与える影響を調査することである.

方法

対象:

過去1年以内に脳卒中を発症した患者30名を以下のように割り付けた.

多角的な転倒予防プログラム介入群(MFP群):15名

通常介入群:トレッドミル歩行介入群(TEG群):15名

MFP群の介入:

転倒予防に関する教育,神経発達学的治療,筋力増強トレーニング,バランストレーニング,柔軟性トレーニングを含む運動プログラムを実施した.1日30分を週5回,5週間にわたって実施した.

TED群の介入

トレッドミル歩行訓練と神経発達学的治療を含む運動プログラムを実施した.

評価項目:

Performance oriented motor assessment(POMA),10m歩行テスト,6分間歩行テスト,Falls Efficacy Scale(FES),Activities-specific balance confidence scale(ABC scale)を用いて,患者の歩行能力と歩行に対する自己肯定感を評価した.

結果

MFP群では,介入後にPOMA,10m歩行テスト,6分間歩行テスト,FESに有意な改善を認めた.TED群では,10m歩行テストのみに有意な改善を認めた.欧米諸国の転倒予防に関するガイドラインでは,運動介入に加えて教育的介入を付加するとともに,転倒恐怖などの心理的要因にも着目する必要性を示している.本研究で用いた多角的な視点から構成されたプログラムは,歩行,バランス能力の改善,心理的因子の改善に有用であることが明らかとなった.

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