人工膝関節全置換術(TKA)術後症例に対して,HAL単関節タイプによる膝伸展トレーニングは有効か?

タイトル:

Feasibility and efficacy of knee extension training using a single-joint hybrid assistive limb, versus conventional rehabilitation during the early postoperative period after total knee arthroplasty

著者名:

Tomokazu Yoshioka, Shigeki Kubota, Hisashi Sugaya, Norihito Arai, Kojiro Hyodo, Akihiro Kanamori

and Masashi Yamazaki


雑誌名:

J Rural Med. 16(1): 22-28. 2021


ポイント

1) 人工膝関節全置換術(TKA)術後症例に対するHAL単関節タイプを用いた膝伸展トレーニングの有用性を調査した.

2) HAL介入群は,通常介入群と比較して,痛みの悪化を認めず,早期にExtension Lagの改善を認めた.

3) HAL単関節タイプを用いた膝関節伸展トレーニングは,より早期に膝関節機能を改善する手段として有用であると思われた.


TKA術後症例における膝関節伸展機能の問題

変形性膝関節症患者に対するTKAにおいて,良好な膝関節可動域を獲得することは,術後の臨床結果に大きく影響する.人工股関節全置換術と比較すると,術後の痛みの改善は同等であるが,膝関節機能や関節可動域,生活の質の改善が停滞しやすいことで知られている.

TKA術後の膝関節伸展機能ならびに伸展可動域の低下は,大腿四頭筋の機能不全や術後疼痛による影響が考えられる.この膝関節伸展機能の低下は,大腿四頭筋の負荷の増大,歩行速度の低下,異常歩行などと関連することから,改善のためのリハビリテーションが重要となる.

具体的なリハビリテーション手段として,Continuous Passive Motion(CPM)が挙げられるが,その効果については不明瞭である.


HAL単関節タイプとは?

サイボーグ型ロボットHALの機能(装着者の身体機能の改善・補助・拡張・再生)を活かした上肢・下肢特化型のアタッチメントであり,装着者の肘関節および膝関節運動のアシストを実現する.具体的には,随意運動意図に基づき動作するサイバニック随意制御によって随意運動をアシストすることで,装着者の肘および膝関節の屈曲・伸展運動を補助することが可能となる.


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本論文の目的

HAL単関節タイプを用いたTKA術後症例に対する膝伸展トレーニングの効果を,従来のリハビリテーションと比較することで,その有効性について調査した.


方法

対象:

TKA術後患者24名(HAL介入群12名と通常介入群12名にランダムに割付けた.)


介入プロトコル:

通常介入群

→術後翌日より全荷重開始.理学療法士による関節モビライゼーションや関節可動域訓練,筋力増強訓練,

座位・立位・歩行訓練などを週5回,1日40分程度実施した.

HAL介入群

→通常介入群の内容に加え,術後8日目よりHAL単関節タイプを用いて端座位での膝関節伸展トレーニング

を実施した.1セットを10回として,5セットを週2回実施した.


評価項目:

・HAL介入群におけるトレーニング時間

・介入前後における痛みのVisual analog scale(VAS)

・Extension Lag

結果

通常介入群は,介入後に痛みが増加する傾向を認めたが,HAL介入群は減少する傾向を認めた.また,Extension LagはHAL介入群で経過とともに改善を示したが,通常介入群では改善しなかった.さらに,HAL介入群では,自動運動による膝関節伸展可動域が他動運動による可動域よりも,高い改善の度合いを示した.

本研究によって,TKA術後症例に対するHAL単関節タイプによる介入の有効性が示された.今後は,適切な使用方法(プログラム設定,頻度やセッション数など)を検討する必要がある.

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