タイトル:
Combination of exoskeletal upper limb robot and occupational therapy improve activities of daily living function in acute stroke patients
著者名:
Iwamoto Y, Imura T, Suzukawa T, Fukuyama H, Ishii T, Taki S, Imada N, Shibukawa M, Inagawa T, Araki H, Araki O
雑誌名:
J stroke cerebrovasc dis. 2019
ポイント
1) 上肢特化型リハビリロボットを用いた介入が,急性期脳卒中患者の日常生活動作能力に対する効果を検証すること.
2) 上肢特化型リハビリロボットを用いることによって,上肢運動機能に加えて,日常生活動作能力と麻痺手の使用頻度が改善することが示された.
上肢に対するリハビリテーション
近年,様々なリハビリロボットが開発されている.上肢の運動機能障害は,下肢と比較して重度であることが多いため,リハビリロボットの活用は今後さらなる発展を遂げていくであろう.このリハビリロボットについて,歩行機能に対するエビデンスは蓄積されつつあるが,上肢機能に対する効果は明らかとされていない点が多い.いくつかの先行研究では,脳卒中患者に対する上肢運動麻痺や肩関節や肘関節機能の改善効果を有することが報告されている.しかしながら,これら先行研究では「対照群との比較検討」を行なっておらず,介入期間などのバイアスが影響した可能性がある.
本論文の目的
急性期脳卒中患者を対象に,上肢特化型リハビリロボットによる介入が,日常生活動作能力を改善し得るかどうかをランダム化比較試験にて検証した.
方法
対象:
急性期脳梗塞患者30名
取り込み基準:
初発脳梗塞,Brunstrom recovery stageⅡ〜Ⅲ,発症2週間以内に研究参加が可能である
介入内容:
A-B-A-Bデザインに基づくA群と,B-A-B-Aデザインに基づくB群にランダムに群分けされた.
A期☞ロボットスーツHAL単関節タイプを用いた介入と作業療法との併用介入を5日間
B期☞作業療法のみの介入を5日間
アウトカム:
感覚-運動障害☞片麻痺回復グレード・Br-stage,Motricity index,握力,感覚機能
筋緊張☞MAS
日常生活動作能力☞FIM,BI
上肢の使用頻度☞MAL
結果
両群において,A期(ロボット介入+作業療法介入)終了後に,上肢運動機能と日常生活動作能力,麻痺手の使用頻度に有意な改善を認めた.本研究によって,急性期脳卒中患者に対する上肢特化型リハビリロボットの新たなエビデンスが創出された.
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